カスタマーサクセス組織は、適切な時期に適切なアプローチで規模を拡大することで、顧客が必要なサポートを受けられるようになると同時に、組織内の役割を明確にしたり、CSMの消耗を抑えることができます。拡大の時期を間違えてしまうと、顧客の体験が悪くなり、CESの悪化に繋がったり、カスタマーサクセス・サポートの品質を担保することが難しくなってしまいます。
組織の拡大タイミングを考えるにあたって、まずは組織の規模を評価する必要があります。この記事では、カスタマーサクセスチームの規模を評価する際に、以下の考慮すべき3つの指標について説明します。
- CSMあたりの年間契約額(ACV)目標
- 製品の複雑さ
- CSM一人当たりの顧客アカウント数
1. CSMあたりの年間契約額目標:ACV
ACVとは、Annual Contract Value の略で、契約期間中のすべての顧客収益の合計、つまり、年間契約額を指します。米国では、CSM 1 人あたり約 200 万ドルの ACV を管理できる必要がある(ARR を基準とする場合もある)としており、日本円で換算すると約2600万円です。
一般的に、CSM 1 人当たりの ACV が多ければ多いほど、1 年間で効率的に管理できる顧客数は少なくなります。したがって、各 CSM が顧客に十分な時間と注意を払えるように、現実的な ACV 目標を設定することが重要です。
2. 製品の複雑さ
製品の複雑さは、各CSMが効率的に管理できる顧客数にも影響します。製品のセットアップや学習・使用が簡単であればあるほど、CSMが管理できる顧客アカウント数は多くなります。
例えば、新規顧客に対して大規模なオンボーディングとトレーニングが必要なエンタープライズレベルの製品があるとします。この場合、CSMは各アカウントにかなりの時間を費やす必要があります。一方で、ユーザーがほとんど何も教えなくても使えるように設計されている製品であれば、クライアントがCSMに要求する時間は大幅に短縮されます。
3. CSM一人当たりの顧客アカウント数
CSM一人当たりの顧客アカウント数は、CSMの経験やSaaSビジネスのステージなどによって異なります。しかし、目安としては、50以上のアカウントは管理できないでしょう。理想的な管理数は、ロータッチの場合1人のCSMにつき20~30件でしょう。
CSM一人当たりの顧客ボリュームは、業務アセットの明確化とメニュー化による半自動化によって増やすことができます。既存のリソースから最大限のパフォーマンスを引き出したい方は、ぜひ無料相談会へお申し込みください。
4. 三要素の融合
ACV・複雑性・アカウント数を組み合わせることで、CSM を追加採用するタイミングを特定することができます。ベストプラクティスは、組織内の3つの要因のそれぞれを明確に定義することです。成長軌道のどの位置にいるか、どのような成長チャネルを追求しているかによって、成長の優先順位が異なるスケーリングシナリオを検討する必要があります。CSMと顧客の関係の浅さ、CSMの過労、顧客解約の増加などは、それぞれの要素に影響を与えるため、別途検討する必要もあります。
3つの要素を理解すれば、それぞれに閾値やレビューポイントを設定することができます。たとえば、「次の四半期の終わりまでに、1人のCSMが75の顧客アカウントを持つようになる傾向がある」など。そのような傾向が観測できたらば、すぐにでも新入社員の面接と予算確保を始めるか、有力な候補者を数人用意する必要があるでしょう。
まとめ
今回の記事で紹介した三要素を定義づけ、観測を始めれば、CS組織の拡大及び、CSMの採用のタイミングが自ずとわかります。定義づけの方法がわからない、数値の反映のさせ方がわからないなどございましたら、お気軽に無料相談へお越しください。
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