エクスパンションの概要

エクスパンション(expantion)を一言で言うなら、『拡大』と訳されます
エクスパンションには、アップセルやクロスセル・パッケージセル・ダウンセルと呼ばれる手法が存在し
これにより「顧客の利用拡大」を計ります。
ちなみに、フレデリック・F・ライクヘルドによると
顧客の維持は新規顧客の獲得よりも5分の1のコストで済むため
サブスクリプション型ビジネス(saas)において、エクスパンションは、売り上げを上げる重要な行動になります。
アップセル
アップセルとは、
顧客一人あたりの単価を上げるのを目的に、顧客に上位のプランを購入してもらうマーケティング戦略
例えば、
フリーミアム型で、利用者を増やし
そこから、プレミア版への移行を提案するなど
Youtube premiumや無料スマホアプリ便利ツールでよくみられるのを示します。
クロスセル・パッケージセル
クロスセルとは、顧客一人あたりの単価を上げることを目的に
顧客が現在購入している商材とは別に、一緒に関連する商材を購入してもらうこと。
わかりやすい例ですと、
『この商品を購入する人はこれも買ってます』のようにAmazonのレコメンド機能を思い浮かべてみて下さい。
エクスパンションをするタイミングは、
顧客の予算や組織体制、決済者や決算月など一般的な会社のステータスや何度かに渡るヒアリングの内容をもとに考えていきます。
お気づきの方もいると思いますが、エクスパンションとはいわば『セールス』のようなもの。
ダウンセル
ダウンセルは、アップセルの逆の概念で、
ある商品を購入しようと検討している顧客に対し、想定している商品の下位互換の商品を紹介する手法のこと。
例えば、購入の検討をやめようとする顧客や、現商品では機能が過剰だなと感じる顧客に対して有効な手法として知られています。SaaS型のビジネスモデルでは、しばしば顧客のグレードが下がるとも表現されます。
エクスパンションの計算方法
エクスパンションを計算・分析することは
単に、顧客満足度を知ることにつながるだけでなく
提供しているサービスが適正であるか?現状提供しているサービスの課題がどこにあるのか?を知るうえでも役立つので欠かせない作業となります。
エクスパンションMRR
一つ有名な手法に、エクスパンションMRRと呼ばれるものが存在します。
MRRとは、「Monthly Recurring Revenue」(月間経常利益)
つまり、エクスパンションMRRは、「前月より取引額の上がった顧客」の利益率を指し示します。
具体的なMRRの計算手法については、以下の記事で分かりやすく解説しております。

では、次にエクスパンションの条件について解説します。
エクスパンションに求められる条件
満足度の高い顧客

満足度の高い顧客
① 契約を更新してくれる(解約をしない)
② 買い続けてくれる
満足度の高い顧客はエクスパンションにおいての基本の条件となります。
なぜなら、満足度が安定していない顧客に対してはエクスパンションをすることができないからです。
つまり、エクスパンションをするためには、顧客の満足度の安定、つまり、顧客維持ができている状態である必要があります。
顧客の満足度が高ければ高いほど、顧客は更新をし続けるため、エクスパンションができる可能性が高まります。
多くのプランや商材

エクスパンションをするためには、いくつかの料金プランや商材、モジュール機能が必要です。
これらは顧客のニーズをもとに適宜追加しがちですが、あれもこれもと盛り込んではいけません。
カスタマーサクセスの目的は、顧客の成功を通した自社の成功であるため、顧客のニーズと自社の負担のバランスを取る必要があります。
「真に強いプロダクトは本当に必要なものだけがシンプルにそろう研ぎ澄まされたものでなければならない」
※「カスタマーサクセスとは何か 日本企業にこそ必要な『これからの顧客との付き合い方』」弘子ラザビィ,英治出版株式会社,2019 より引用
上記のように、なんでもできるよりも、必要なことが使いやすい状態である方がプロダクトとしての価値は高いのです。
優れた顧客体験

競合他社と切磋琢磨し続けると、たどり着く先はプロダクトのコモディティ化です。
コモディティ化を簡単に述べると、類似することです。
実際は異なる部分がいくつかあっても、競合他社はあなたの企業と同じかそれ以上と主張してくるでしょう。
そんな時、競合他社と差別化できるのが顧客体験になります。
顧客は一緒に仕事をしたいと思うベンダーから購入するため、拡充されたサポート体制や、優れた施策の提案などを提供しなければなりません。
あなただったらどんな人と仕事をしたいかを考え、顧客に寄り添ってください。
まとめ
カスタマーサクセス業務において、エクスパンションは究極の目的といえるでしょう。しかし、エクスパンションをして終わりではありません。サブスクリプション型ビジネスは買っていただいてからが勝負、成功体験をさせ続けることが大切です。
そう、カスタマーサクセスには終わりはないのです。
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