近年、人工知能(AI)や機械学習という言葉を耳にする機会が増えています。
AIは、ビジネス領域にも大きく貢献するテクノロジーであると位置づけられていますが、カスタマーサクセス業務においては、どのような役割を果たすのでしょうか。
カスタマーサクセスにおけるAIの役割
AIがカスタマーサクセスチームの一部、またはすべてに代わり、業務の大半を引き継ぐことができるでしょうか?
おそらくできないでしょう。
なぜなら、カスタマーサクセス業務は、人間関係に基づく実践であり、人間らしい能力が必要だからです。
人間らしい能力とは下記の5つです。
- アクティブリスニング
- 共感と擁護の姿勢
- 応援と励ます力
- 指導
- 抽象的で不規則なデータに対応する能力
上記の能力は、いずれも人間に代わりAIが代替することはできませんが、
カスタマーサクセスの価値を高めるためにAIが全く役に立たないというわけではありません。
カスタマーサクセスの目標と期待値の理解
カスタマーサクセス業務では、顧客の視点から、成功とは何なのかを理解する能力が必要です。
顧客の成功とは、多面的であるため、顧客にとって適切な定量的な指標や目標を理解することから、顧客の組織内(管理職やその他の部署)で信頼や信用を生み出すといった、リレーションシップの要件を満たすことまで、様々なことが求められます。
また、顧客によって課題や関心事、計画が異なる場合があり、成功を確認するためには、時間と労力がかかることがあります。
他にも、期待通りの結果が得られなかったり、画一的なパターンやスキーマに当てはまらない場合もあります。
多くのSaaSベンダーは、会社が成功をどのように見て、期待しているのかということから、顧客が何を期待しているのかということへ、視点を移すのが難しいと感じています。
カスタマーサクセス業務には、顧客に対し、積極的に耳を傾け、心を開いてもらうために、ある程度のトレーニングや人格的なスキルが必要です。
また、カスタマーサクセスチームが、顧客の顕在的な目標と、潜在的な目標の両方を理解するためには、多少の掘り下げと粘り強さが必要になるかもしれません。
そして、会社の目標や目的が達成されているのかを確認するため、顧客としっかり向き合う必要があります。
そのためには、それぞれの顧客のためにチャンピオンやアドボケイトになることも必要です。
この2つの間の潜在的な不協和音を管理するには、論理的な方程式を元に動くAIではなく、卓越した人間の能力が必須となります。
顧客情報の発信
カスタマーサクセスチームが発見した情報を適切に把握し、適切なチームに、適切な方法で届けることができるかどうか、また、その情報を実用的なものにできるかどうかも鍵となります。
顧客のインサイトを収集し、それをアクションに結びつけることができる記録システムやシングルペインビューを持つことは、大きなアドバンテージとなります。
データ指標は、有力なものですが、そこにも必ず人間の特性や関係性が必要です。
AIで実現できるカスタマーサクセス
AIは、パターンを見つけることが得意なため、膨大な量の、時には不可解なデータから、定量的な意味を見出したり、特定の発見や条件に基づいて、改善策や次のステップを提案することができます。
カスタマーサクセスシーンにおいては、実践によって明らかになったインサイトを、より有用なものにすることで、価値をもたらし、さらには新たな成功を顧客に届けることができる可能性があります。
しかし、現在の多くの企業は、自社におけるカスタマーサクセスの適切なモデルを模索中であり、また、カスタマーサクセスに特化した記録システムを持っていないところもあります。
したがって、即戦力としてAIを導入することは難しいでしょう。
AIが活躍できる場は、ヘルススコアが適切に設定されていることが前提であり、まずは、目の前の顧客に対して、確実に成功が届けられるよう、ツールの選定から、ヘルススコアの設定まで行ってください。
*参考文献https://www.forbes.com/sites/forbescommunicationscouncil/2021/04/30/will-ai-revolutionize-customer-success/
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